
この完成を、亡き模型同志、Tシールドに捧げます。

Tシールドは、宙に浮いていた。
「あれ?僕どうしちゃったんだろう」
眼下には、自分のクルマが見える。
クルマのルーフが、透き通るかのように中が見えた。
シートにもたれているのは、自分自身だ。
まわりに練炭火鉢がいくつも置かれていた。
「なんだ・・そうだったのか」
彼はすべてを理解した。
ありとあらゆる疑問が氷解した。
世の中の、すべての謎が、理解された。
世界のしくみや、人々の頭の中までもが一瞬にしてすーっと頭に入るように悟ることができた。
あたかも自分が、世界と同化するかのように。
「そんなにもてるはずがないと思ったんだ」
不思議と彼女に恨みはなかった。
「彼女の愛が、偽りだったとしても、僕は、ほんとうに彼女を愛していた」
Tシールドには、確信があった。
「僕の愛は本物だった」
二人が見つめ合った、あの瞬間は間違いなく二人の間に愛があったのではなかったか。
すくなくともTシールドの愛は真実の愛であった。
彼女を心から愛しく思い、一緒に人生を歩む決意をしていた。
「彼女を初めてこの腕で抱きしめた時、僕は世界中の幸せを手にしたかのように感じたんだ」
「あの夜は、世界で一番幸せな男だった」
「これからは、男としてもっと頑張らなくっちゃな、そう思った」
「体中の細胞に、力が満ちあふれてくるのを感じたんだ」
そこで感じた幸せは、Tシールドの中でまごうことなき真実のものだった。
見返りなんか要らなかった。
「僕の愛は本物だったから」
Tシールドには、ただひとつ、気になることがあった。
作りかけの戦車や、買いだめしておいたキットのことだ。
「こんなことなら
僕も、
もっと、すっげーの
作りたか・・・・った・・・」
わずかな心残りを残して、Tシールドの魂は、宇宙に溶けていった。
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三号突撃砲F/8の製作過程で、こっそり試していました。
ヘアスプレー法は、塗膜の剥がし方の技法の一種で
ヘアスプレーを剥離材として、下塗りと上塗りの間に挟むのです。
髪を洗えば落ちてしまう水溶性の性質を利用して
水を使えば、上塗りの剥がしが、容易になるというわけです。
使用したのは、洗面所の棚の中にあったモッズヘアー レベル3というやつ。
部分的に適用してみました。

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あまりに個性の強い作品を大量に見てきた影響でしょう。
「まだまだ甘っちょろいやん、もっとハチャメチャにどんどん好きなことを自由にやったらいいじゃないか」
と言われているような気がしています。
そういう意味で非常に勇気をもらいました。
帰ってからさっそく、躊躇していたことをやってみました。
防盾と車体の隙間に防水シートを付けてみたのです。

なかなか鉄に見えない車体をどうやって鉄に見せるか。
柔らかい質感のモノを側に置くことで
その対比として、硬い鉄のように感じさせることができまいかと画策しました。
強いつや消しで
布の質感を表現したかったのですが
んー、しわが少し硬かったですかねえ。
もう少しで完成です。
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そろそろ終局が見えてきました。
リアの表情を見ながら、その変遷を辿りたいと思います。
今回は、時系列を逆から辿ることで
見えてくるものがあるかもしれませんので
最終状態からバックしてみます。
モッズヘアーを使ったオイルや、湿気などの塗れ表現が入っているのですが、写真ではわかりにくいようですね。
エグゾーストパイプの内側も黒く塗ったのですが
ちょうど影になってしまっています。
ここまでくると、あれもしたいこれもしたいとどんどん汚しのアイディアが溢れてくるようになります。

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ウェザリングもていねいで細かいところまで良く手が入っている。
エアブラシを使ったと思われる塗装は
わたしの作品では決して見られない緻密で繊細な感じを伝えてくる。
すごく良くできていると思う。
でも、わたしの目には本物に見えない。
なぜだろう???
どこも悪いところはないというのに・・・。

ショーウインドーに自分の作品を置いてみたら
いったいどのように見えるのだろう。
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非常に細かい部分なのですが、
そこを放っておくとリアルに見えないという重要な部分です。

三号、四号系列では重要だと思うのが
フェンダーとフェンダー上の滑止めのとの「境目のスキマ」です。
ここを塗料で埋めたままにしておくのと
0.05ミリでもスキマを空けておくのとでは、リアルさがまったく違うと思っています。
人間というのは、形状のちがいは隣に並べて比較でもしないかぎり
案外と気づかないものだと思いますが
ディテールのわずかな「スキマ」などには、素人の人であっても目が行って
スケールを測る手がかりになっているように思います。
そこで、いつも彫刻刀を使って
刃先をぐっぐっと押し込んでやってます。

そのあと、サビ色などの塗料を流しても良いです。
また、今回は目立つ位置にあるノテックライトを
ここに来て作り替えました。
「もっと早くやっとけ」って?

この2点だけで、ずいぶんと良くなりましたと自画自賛です。
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これすなわち「鑑賞者の目を楽しませる」という考え方から。

全体の色や仕上げが、すべて連続しつながっている状態では
上から見ても、前から見ても、横から見ても
鑑賞者の予想の範囲内にとどまり、見飽きさせてしまう場合があります。
部分的に色を変え、アクセントを入れることで
ほんのちょっと作品にも面白味が加わります。
「あとから供給されるスペアホイールは、ダークイエローなんです」を表現してみました。
海外モデラーの方は、そのあたりが本当に上手くていつも感心します。
Adam Obrębskiさんの四号駆逐戦車もそのひとつ。
プライマーレッドを効果的に使う例は、よく見られますね。
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満足度80パーセントです。
今後、さらに手を加える可能性も、すこーし残っています。
(どこかで見切りをつけなければ、永遠に完成しないですね)

二回塗り直しました。
春先のドロドロの中を走ってきた足回りにしようと思い立ったのが
はじまりですが、途中で方針変更。
浅い水たまりを抜けてきた設定になりました。
濡れた表現がうまくいかず、換装したばかりの新品ウインターケッテに方針変更。
しばらく眺めていましたが
なんとなく気に入らず、また泥を被せて設定変更。

水たまりを抜けてきた後、乾き始めた感じにしたいと思い立つも
希望通りの表現に至らず
オイルが付いたような表現で終わってます。
いつもながらきれいではない足回り。
う~ん、静止していてもアクティブな感じ、
動きや、荒々しさ、迫力みたいなものが出ると思うのですよねえ。
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赤い増加装甲は、
「原色に近い色を用いながらリアル感をどうやってだすか」
に苦心しました。
全体写真ではいまひとつアピールが出来ていないので
拡大して見ていただきましょう。

苦心惨憺の末の答えが今回のこれです。
これでけっこう満足しています。
(同時に、これが限界ということも露呈していますね)
もっと別の解はあるのでしょうが、それはまたの機会ということで。
アクリルの赤をベースに、油彩とパステルにて
かなり長期に渡る試行錯誤をしました。
どこをどうしたのか説明することが難しい。
たぶん「長期に渡る」というところがポイント。
熟成が必要というか、すぐにはたどり着けない地平なんです。
自分の力を超えるためには、あらゆる努力をして
かすかに見えてくる光にすがりついて
自分のもとへ強引に引き寄せるような瞬間があります。
それが未知の表現を
現実に落とし込み、成功させることができた幸運といえるでしょうか。
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いつの間にか、いかに派手な塗装でリアリティをもたせるかが課題に変わっております。

単色のダークアイアンだったものに冬期迷彩の名残が入り
さらに、赤が入り、砲身に白が入り
加えて、盛大にサビが入りました。
もう、先の見えない五里霧中モデリング(ペインティング)というやつです。
こんなのは始めて。
毎回、新作を塗る時は、
先は不安ながらも、
狙っている表現というのは頭の中にあって塗っていましたが
今回ばかりは、ゴールのイメージがものすごく揺れています。

どこがゴールかわからないで、出来上がることがあるでしょうか。
さて、これに「ヘアスプレー法」を試してみるかな・・・?。
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女のために命を懸けることこそが、唯一、男の死に値するといった思想に取り憑かれていたようです。

当時、勤めていた会社の長崎支店にとても美しい女性がいました。
やや小柄でしたが、全盛期の松坂慶子を彷彿とさせるきりりとした爽やかな美人です。
しばしば長崎支店へ寄る機会があったのですが、あるとき
「休みの日は何をしてるんですか」
から始めて、いっしょに飲みにいく約束を取り付けることができました。
約束の当日。
こういう日にかぎって、憎たらしいほど仕事が山積して早く帰ることができません。
20:00、もう(待ち合わせの)約束の時間です。
「遅くなったけど、いまから出ます」
そう、公衆電話で伝えると(当時は携帯なんて便利なものはないので)、
インターチェンジまで蹴飛ばすようにクルマを飛ばします。
高速道路に乗ったら、アクセルを床まで踏みつけます。
回転振動がないはずのロータリーエンジンが膝先で唸りをあげ、空中分解しそうな振動と轟音に包まれます。
追い越し車線を、ハイビームしたままで、アクセルを緩めることなく走り続けました(恐かったけど)。
高速道路のカーブがこんなに急だと知ったのはそのときです。
そんなとき『赤と黒』のことが思い出されました。
「これで死んでも本望だ(意味を取り違えてる?)」
途中、血の気の多いクルマが追いかけてきましたが、差が詰まらずあきらめたようです。こちらもMAXでしたから、リミッターカットでもしていなければ無理でしょう。
かなり遅れて(1.5~2時間?)、彼女と合流しました。
最初から彼女は少し怒っていたようです。
(あたりまえか)
努めて楽しい時間にしようと振る舞ってくれていたようでしたが
話が、お互い噛み合ず、彼女は失望したようでした。
当時、彼女は26歳で、社会経験も積みじゅうぶんに大人の女性でしたが
わたしは、学校を出たばかりで、理屈が先行しているような時期でした。
大人の女性を相手にするには、いささか子供過ぎたようです。
そのときの様子は、なぜかはっきりとは思い出せません。
二人で何を食べたのか、何をしゃべったのか・・・。
ただ、二件目のツーショットバーで流れていた空虚な雰囲気だけが思い出されます。
もうひとつ、移動中、二人で街を歩いているとき
すれ違う人々の視線が、つねに同じ軌跡を描くのは笑えました。
男も、女も、同じように、まず彼女に視線が行き、
次に(どんな男が連れているのかと)わたしに視線が移るのです。
衆目を集めるような女性と連れ立って歩いたのは
あれが最初で最後です。
その後、彼女の家に何度か電話しましたが、二度と取り次いでもらえませんでした。
まだ執着のある相手にふられた場合、男であれ女であれ、もっとも建設的な考え方は
「必ず後悔するような男(女)になってやる」
と思うことでしょうか。
若かった頃の、苦い思い出です。
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その方面の技術を向上させるにはコツコツ努力するしかないとある。
『簡単に言うと、ずーっと遥か遠くにある一億円をどうやって取りにいこうかと考えている人は、一億円を手にすることはできないんです。
自分のすぐ足下に落ちている一円玉を一つずつ地道に拾いながら先に進める人は、コツコツ拾い続ければいずれは一億円になります。
(中略)
愚直なまでに足下の一円玉を集め続けた人は、いつか必ず一億円を手にすることができる。
一億円を手にする方法はそれしかないんです。
(中略)
どこまで続くかわからないけれど、とにかく一枚一枚拾い続けるしかない。
途中でいくら拾ったかわからなくなっても、とにかくひたすら拾い続ける。
すると、いつの間にか一億円になっている。』
同様に、わたしも、この方面の技術を身につけるために
コツコツやってます。
タミヤ三突が完成する間際から、塗装に入っていたF/8。
(これも塗装練習のためのワンディモデリング)
「黒豹」のイメージで仕上げようとの意図を持って
ダークアイアンを基本塗装色に選び
下塗り無しで直接塗りました。(塗膜が厚くなったタミヤ三突の反省から)

当然それだけではリアルとはほど遠く、
そこから延々、紆余曲折しながら、やっとここまで。
一見すれば「黒」、ひと言で言えば「黒」い車体で、
精悍さを感じさせるイメージを壊さずに
どうすれば、リアルに見える情報量を詰め込めるかという
未知への領域に挑戦しています。
イメージ先行で、作るのは初めての経験。
わからない答えを見つけるというのは、苦労しますね!
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ロボットというものは、人間と敵対するものという位置づけがなかなか揺るがないらしい。

もともとの映画「ターミネーター」は、
あのユル・ブリナー演ずるガンマンのロボットが追いかけてくる映画(なんでしたっけ?)の現代版みたいな作品でした。
「2001年宇宙の旅」のH.A.L.にせよ、スカイネットにせよ、最近の映画「イーグル・アイ」の?にせよ、人工知能はすべて人間に反旗を翻すように描かれるのが通例。
ですから、逆に「ステルス」のラストシーンでは、びっくり。
人工知能が、自己犠牲で人間を助けて死んだ場面を見た最初の映画でしたから。
さて、三突F/8は、足回りの塗装で、行き詰まって長らく停滞中。
キャタピラや転輪の塗装が完璧に決まってからでないと、車体上部を接着するのが不安なもので・・・。

少しいじってみましたが、どうなんでしょう。
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「1944年!? ジャーマングレイの F 型?
こいつは、もしかすると一冬、二冬、越してきた車輌なんだろうか?」
と思ってしまいました。

ハリコフ攻防戦では、F/8型もよく見るようですが、
1944年まで生き残ったとすれば、かなりボロボロの車体なんじゃないでしょうか。
ここで浮かんだイメージは
年季が入って真っ黒な、黒豹のような三突です。
ウインターケッテンをつけて、低く身構え、獲物を待ち伏せする黒豹。
これってすごく精悍でかっこいい。
展示会などでは、明るいパステル調の車体が目立ちますが
そんな中で
逆に、真っ黒に見える車体は目立つのでは?
そんなあまのじゃくな思いもあって、真っ黒に見える三突を作ろうと思い立ちました。
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